
数年前、静岡・清水港に入港した帆船「海王丸」に出会った日のことが、
ふと心に蘇る。
真っ白な船体に、空へと伸びる優雅なマスト。
まさに“海の貴婦人”という言葉がぴったりで、その美しさに、
港に集まった人たちが一斉に息をのんだ瞬間が忘れられない。
まるで時間が止まったかのような、あの静けさと感動——。
入港後に行われた「セイルドリル」では、
訓練生たちが一糸乱れぬ動きで帆を張る姿に見入ってしまった。
遠くから見ると優雅で、近づくとそのスケールと緻密さに圧倒される。
潮風の中にふっと混じる木の香り。
そして、長い年月を旅してきた船だけが持つ、
静かな鼓動のような空気。あのひとときが、今でも心に残ってる。