
今年の夏も、あっという間に過ぎていきました。
蝉の声が少しずつ遠のき、夜風に秋の気配を感じはじめる頃、
岐阜・郡上八幡へと向かいました。目的はただひとつ――
郡上おどりのおどり納め。
毎年7月中旬から9月上旬まで、30夜以上にわたって開催される郡上おどり。
中でもお盆の「徹夜おどり」が有名だけれど、実は最後の夜、
「おどり納め」にはまた違った魅力があるんです。

郡上八幡の夏は、踊りとともにある
昼間の郡上八幡は、どこか懐かしい空気に包まれていました。
清らかな水が流れる吉田川、石畳の小道、軒先に吊るされた風鈴。
散策していると、まるで時間がゆっくりと流れているかのような気分に。
そして日が暮れ始めると、町の空気が変わっていきます。
浴衣姿の人たちが三々五々と集まり、下駄の音がカランコロンと鳴り響く。
いつの間にか、町はひとつの「輪」になっていた。

おどり納めの夜は、少しだけ切なくて、でも温かい
お囃子の音が鳴り始め、「かわさき」「春駒」など、馴染みの曲が次々と流れます。踊りの輪に加わる人、見守る人、写真を撮る人。
誰でも参加できるのが郡上おどりの魅力で、地元の人も観光客も、
年齢も関係なく、みんなで一緒に踊ります。
でも、おどり納めの夜は、どこかいつもと違う。
今年最後の一曲を惜しむように、踊り手たちの動きも、
ひとつひとつが丁寧に見える。踊りの終わりとともに、
「夏が終わるんだな」という実感が、じんわりと心に染みてきました。

また来年、きっとここに戻ってくる
おどり納めの最後、会場には拍手と「また来年!」の声が響きます。
別れというより、次への約束のような、前向きな空気。
寂しさの中にも、どこかあたたかさが残る夜でした。
郡上八幡の夏は、ただの観光では終わらない。
「踊り」という文化が、この町の時間と人の心をつなげてくれる。
それを感じた夏の終わりでした。

【ありがとう、郡上八幡。また来年、踊りましょう。】
今年の夏も、たくさんの笑顔とともに、郡上おどりが幕を閉じました。
名残惜しいけれど、だからこそまた来年が楽しみになる。
この町の風景と音に、また会いに来ようと思います。