ゆるっと蔵出しフォト

走ってきたからこそ見える風景

あの日の空気と桜の景色 何気ない道で見つけた、特別な春

茨城の阿見町にある、県道43号線 茨城大学阿見キャンパス(農学部)

旧土浦海軍航空隊の跡地の前の道。春になると・・・

 

このあたりは空気そのものが少しやわらかくなったように感じられて、

歩くだけで気持ちがふっとほどけていきます。

 

道の両側に並ぶ桜は、いわゆる名所のような華やかさではないけれど、

その分どこか自然体で、静かにそこにいる感じが心地いいんです。

 

満開の花をたっぷりつけた枝が、そっと道にかぶさるように伸びていて、

その下を歩くと、まるでやさしく包まれているような気分になります。

風が少し吹くだけで、花びらがひらひらと舞い始めます。

 

その様子は決して派手ではないのに、不思議と目が離せなくて、

つい足を止めてしまうほど。舞い落ちた花びらが、

アスファルトの上や道の端にそっと重なっていく様子もまたきれいで、

気づけば足元まで春色に染まっていました。

この道は、とても静かです。車の音も、人の声も、

どこか遠慮がちに感じられるくらいで、風の音や鳥のさえずりが

よく聞こえてきます。桜の枝が揺れるかすかな気配や、

花びらが地面に触れる瞬間まで、なんとなく感じ取れるような、

そんな穏やかな時間が流れていました。

 

そしてここは、たくさんの若者たちが夢や想いを抱えて過ごした場所の

すぐそばでもあります。そんな背景を知っていると、

目の前に広がるやさしい桜の風景が、ただきれいなだけではなく、

どこかあたたかく、少しだけしんみりとした気持ちを運んでくるようにも

感じられます。でも重くなりすぎず、ただ静かに寄り添ってくれるような、

そんな優しさがあります。

 

特別に賑わうわけでもなく、観光地のような華やかさもない場所だけれど、

だからこそ出会える景色がある気がします。

何気なく通り過ぎてしまいそうなこの道で、ふと足を止めて見上げた桜は、

思っていた以上にやさしくて、あたたかくて、少しだけ心に残るものでした。

「きれいだな」と思う気持ちと、「また来たいな」と思う気持ちが、

静かに重なっていくような時間。そんなひとときを過ごせたことが、

なんだかうれしくて、帰り道までほんのりやさしい気分のままでした。

また来年も、この道に春が来たころに、ふらっと歩いてみたくなる。

そんなふうに思わせてくれる、やわらかい桜の景色でした。